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夏目漱石 冬

夏目漱石 冬3

冬の月


土佐坊の生擒(いけどら)れけり冬の月  

(じょう)に入る僧まだ死なず冬の月  

幼帝の御運も今や冬の月  

博徒市(ばくといち)に闘ふあとや二更(にこう)の冬の月  

堂下(どうか)(たん)あり潭裏(たんり)影あり冬の月  


寒月(かんげつ) 


寒月やから堀端(ほりばた)のうどん売  

寒月や薙刀(なぎなた)かざす荒法師  


(木枯)こがらし 


驀地(ましぐら)に凩ふくや鳰(にお)の湖(うみ)  

凩に裸で御はす仁王哉  

凩に潮吹く平戸かな  

凩やのきれたる弓のそり  

凩や滝に当つて引き返す  

木枯の今や吹くとも散る葉なし  

凩の上に物なき月夜哉  

凩や真赤になつて仁王尊(におうそん)  

凩に牛怒りたる縄手(なわて)哉  

凩や冠者(かじゃ)の墓撲(か)つ落松葉(おちまつば)  

凩に早鐘(はやがね)つくや増上寺  

凩や海に夕日を吹き落す  

凩のはねぢれつ岡の上  

策(むちう)つて凩の中に馬のり入るゝ  

凩や鐘をつくなら踏む張つて  

凩の沖へとあるゝ筑紫潟(つくしがた)  

凩や岩に取りつく羅漢路(らかんみち)  

凩の鐘楼危ふし巌(いわ)の角(かど)  

絶壁に木枯あたるひゞきかな  

石の山凩に吹かれ裸なり  

凩のまがりくねつて響きけり  

凩の吹くべき松も生えざりき  

年々(としどし)や凩吹て尖る山  

凩の峰は剣(つるぎ)の如くなり  

詩僧(しそう)死して只凩の里なりき  

凩や斜に構へたる纏持まといもち)  

凩の下(した)にゐろとも吹かぬなり  

凩や吹き静まつての車  

雨ともならず唯凩の吹き募る  


初時雨(はつしぐれ)


初時雨五山(ござん)の交る交る(かわるがわる)哉  

初時雨吾に持病の疝気(せんき)あり  

初時雨故人の像を拝しけり  


時雨(しぐれ)


時雨るゝや右手(うて)なる一(いち)の台場より  

時雨るゝや泥猫眠る経(きょう)の上  

時雨るゝや聞としもなく寺の屋根  

時雨るや裏山続き薬師堂  

時雨るや油揚(あぶらげ)烟(けぶ)る縄簾  

三十六峰我も我もと時雨けり  

号外の鈴ふり立(たて)る時雨哉  

昨日しぐれ今日又しぐれ行く木曾 

鷹狩や時雨にあひし鷹のつら  

一時雨(ひとときあめ)此山門に偈(げ)をかゝん  

山寺に太刀を頂く時雨哉  

水臭し時雨に濡れし亥(い)の子餅(こもち)  

古池や首塚ありて時雨ふる  

十月のしぐれて文(ふみ)も参らせず  

谷の家竹法螺の音に時雨けり  

戛々(かつかつ)と鼓刀(ことう)の肆(みせ)に時雨けり  

吾栽(わがうえ)しに時雨を聴く夜哉  

謡ふべき程は時雨つ羅生門  

折り焚(た)きて時雨に弾(ひ)かん琵琶もなし  

器械湯の石炭臭しむら時雨  

しぐれ候(そうろう)程の宿につきて候  

時雨るゝは平家につらし五家荘(ごかのしょう)  

藁葺(わらぶき)をまづ時雨けり下根岸(しもねぎし)  

はじめての鮒屋(ふなや)泊りをしぐれけり  

師(うたいし)の子は鼓(つづみ)うつ時雨かな  

一東(いっとう)の(いん)に時雨るゝ愚庵(ぐあん)かな  

提灯の根岸に帰る時雨かな  

時雨るゝや足場朽ちたる堂の漏(もり)  

時雨るや宿屋の下駄をはき卸す  

時雨ては化る文福茶釜かな  

茶の会に客の揃はぬ時雨哉  

杉木立(すぎこだち)寺を蔵(かく)して時雨けり  

豆腐焼く串にはらはら時雨哉  


小夜時雨(さよしぐれ)


懇(ねんご)ろに雑炊たくや小夜時雨  

小夜時雨眠るなかれと鐘を撞(つ)く  


冬の雨


武蔵野を横に降る也冬の雨  

冬の雨柿の合羽のわびしさよ  

下馬札(げばふだ)の一つ立ちけり冬の雨  

紡績(ぼうせき)の笛が鳴るなり冬の雨  

たまさかに据風呂焚くや冬の雨  


(あられ)


待て座頭風呂敷かさん霰ふる  

すさましや釣鐘撲(なぐ)つて飛ぶ霰  

大粒な霰にあひぬうつの山  

いそがしや霰ふる夜の鉢叩(はちたたき)  

雨に雪霰となつて寒念仏(かんねんぶつ)  

天守(しゃち)いかめしき霰かな  

したゝかに饅頭笠(まんじゅうかさ)の霰哉  

がさがさと紙衣(かみこ)振へば霰かな  

挨拶や(まげ)の中より出る霰  

(さい)を出てあられしたゝか降る事よ  

熊笹に兎飛び込む霰哉  

焚かんとす枯葉にまじる霰哉  

帆(むしろほ)の早瀬を上(のぼ)る霰かな  

奔湍(ほんたん)に霰ふり込む根笹(ねざさ)かな  

湯豆腐に霰飛び込む床几(しょうぎ)哉  

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