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夏目漱石 秋

夏目漱石 秋14



(れん)古(ふ)りて山門閉ぢぬ芋の蔓(つる)  

芋洗ふ女の白き山家(やまが)かな  

転(こ)けし芋の鳥渡(ちょと)起き直る健気(けなげ)さよ  

ふつゝかに生れて芋の親子かな  


芋の葉

芋の葉をごそつかせ去る鹿ならん  

数ふべく大きな芋の葉なりけり  


蕃椒(とうがらし)

赤い哉(かな)仁右衛門(にえもん)が脊戸(せど)の蕃椒  

赤き物少しは参れ蕃椒  




四方中(なか)を十の稲(いなむしろ)  

一里行けば一里吹くなりの風  

帰り見れば蕎麦まだ白き稲みのる  

稲の香や月改まる病心地(やみごこち)  

稲熟し人癒(い)えて去るや温泉(でゆ)の村  


稲の花

小(ちさ)き馬車に積み込まれけり稲の花  

湯槽(ゆぶね)から四方を見るや稲の花  

(こうもう)の道貧ならず稲の花  


稲の波

汽車去つて稲の波うつ畑かな  


唐黍(とうきび)

唐黍を干すや谷間の一軒家  

唐黍や兵を伏せたる気合あり  

立枯(たちがれ)の唐黍鳴つて物憂かり  


(きび)


馬渡す舟を呼びけり黍の間(あい)  

朝日のつと千里の黍に上(のぼ)りけり  

黍遠し河原(かわら)の風呂へ渡る人  

黍行けば黍の向ふに入る日かな  


(あわ)

刈り残す粟にさしたり三日(みか)の月  

山里や一斗(いっとう)の粟に貧ならず  

粟刈らうなれど案山子の淋しかろう  

粟折つて穂ながら呉(く)るゝ籠の鳥  

粟みのる畠(はたけ)を借して敷地なり  

寐てゐれば粟に(うずら)の興もなく  

粟の如き肌(はだえ)を切に守(も)る身かな  


粟の穂

(むらすずめ)粟の穂による乱れ哉


蕎麦(そば)の花

いかめしき門を這入れば蕎麦の花  

帰り見れば蕎麦まだ白き稲みのる  

濡るゝ松の間(あいだ)に蕎麦を見付たる  

藪陰や濡れて立つ鳥蕎麦の花  


秋草

秋草を仕立てつ墓を守(も)る身かな


草の花

将軍の古(ふるつか)あれて草の花  

本名は頓(とん)とわからず草の花  


末枯(うらがれ)

青く末枯るゝべきものもなし  


(はぎ)

はらはらとせう事なしに萩の露(つゆ)  

垂れかゝる萩静かなり背戸(せど)の川  

落ち延びて只一騎なり萩の原  

萩に伏し(すすき)にみだれ故里は  

早稲晩稲(わせおくて)花なら見せう萩紫苑(はぎしおん)  

白萩(しらはぎ)の露をこぼすや温泉(ゆ)の流 (ながれ) 

行けど萩行けど薄の原広し  

伏す萩の風情(ふぜい)にそれと覚(さと)りてよ  

扶(たす)け起す萩の下より(いたち)かな  

病んでより白萩(はぎ)に露(ろ)の繁(よ)く降る事よ  

萩に置く露の重きに病む身かな  

風折々萩先づ散つて芒哉  

萩の粥月待つ庵(いお)となりにけり  

萩と歯朶(しだ)に(さん)書く月の団居(まどい)哉  

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