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夏目漱石 秋

夏目漱石 秋12



疾(と)く帰れ母一人ます菊の庵(あん)  

お立ちやるかお立ちやれ新酒菊の花  

兵(つわ)ものに酒ふるまはん菊の花  

山四方菊ちらほらの小村哉  

乱菊の宿わびしくも小雨ふる  

いたづらに菊咲きつらん故郷は  

菊提(さげ)て乳母在所(ばざいしょ)より参りけり  

旅に病んで菊恵まるゝ夕(ゆうべ)哉  

窓をあけて君に見せうず菊の花  

作らねど菊咲にけり折りにけり  

菊咲て通る路(みち)なく逢はざりき  

菊活けて内君(ないくん)転(うた)た得意なり  

見えざりき作りし菊の散るべくも  

菊の頃なれば帰りの急がれて  

(からかさ)を菊にさしたり新屋敷  

去りとてはむしりもならず赤き菊  

片折戸(かたおりど)菊押し倒し開きけり  

(あわ)の後に刈り残されて菊孤(こ)也  

蝶来りしほらしき名の江戸菊に  

門前に琴弾く家や菊の寺  

菊に猫沈南蘋(しんなんびん)を招きけり  

(はまぐり)とならざるをいたみ菊の露  

後天後土(皇天后土こうてんこうど)菊匂はざる処なし  

乱菊や土塀(どべい)の窓の古簀垂 (ふるすだれ) 

菊に結(ゆ)へる四っ目の垣もまだ青し  

端渓(たんけい)に菊一輪の机かな  

花びらの狂ひや菊の旗日和(はたびより)  

住居(わびずまい)作らぬ菊を憐めり  

旗一竿(はたひとさお)菊のなかなる主人(あるじ)かな  

公退(こうたい)や菊に閑ある雑司ケ谷(ぞうしがや)  

大輪の菊を日に揺(ゆ)る車かな  

月を亘(わた)るわがいたつきや旅に菊  

起きもならぬわが枕辺(まくらべ)や菊を待つ  

古里に帰るは嬉し菊の頃  

菊の宴(えん)に心利きたる下部(しもべ)かな  

堂守(どうもり)に菊乞ひ得たる小銭かな  

嬉しく思ふ蹴鞠の如き菊の影  

明けの菊色未(いま)だしき枕元  

日盛(ひさか)りやしばらく菊を(えん)のうち  

(つる)で堤(さ)げる目黒の菊を小鉢(こばち)哉  

形(かたち)ばかりの浴(ゆあみ)す菊の二日哉

三日の菊雨と変るや昨夕(ゆうべ)より  

生垣の隙より菊の渋谷かな  

暖簾(のうれん)に芸人の名を茶屋の菊  

搨(とう)置いて菊あるところどころかな  

菊の雨われに閑(かん)ある病哉  

菊の色縁(えん)に未(いまだ)し此晨(このあした)  

柩(ひつぎ)には菊抛(な)げ入れよ有らん程  

有る程の菊抛げ入れよ棺(かん)の中  

菊一本画(えが)いて君の佳節(かせつ)哉  

菊の花硝子戸(がらすど)越(ごし)に見ゆる哉  

いくさやんで菊さく里に帰りけり


菊の香

菊の香や高士は酒が好き  

菊の香や故郷遠き国ながら  

菊の香や幾鉢(いくはち)置いて南縁(みなみえん)  


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