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夏目漱石 秋

夏目漱石 秋5

稲妻

稲妻やをりをり見ゆる滝の底  

稲妻に行手(ゆくて)の見えぬ広野(ひろの)かな  

北側を稲妻焼くや黒き雲  

稲妻の目にも留らぬ勝負哉  

稲妻の砕けて青し海の上  

此の下に稲妻起るあらん  

稲妻に近くて眠り安からず  

稲妻に近き住居(すまい)や病める宵  


 

馬に二人をいでたり鈴のおと  

晴るゝ瀑(たき)は次第に現はるゝ  

船出ると罵(ののし)る声す深き霧  

鉄砲に朝霧晴るゝ台場哉  

朝懸(あさがけ)や霧の中より越後勢  

川霧に呼(よば)はんとして舟見えざる  

近けば庄屋殿なり霧のあさ  

霧黄(き)なる市に動くや影法師  


狭霧

囲ひあらで湯槽(ゆぶね)に逼(せま)る狭霧(さぎり)かな  


露  

はらはらとせう事なしに萩(はぎ)の露  

(しお)はゆき露にぬれたる鳥居哉  

きぬぎぬや裏の篠原露多し  

白萩(しらはぎ)の露をこぼすや温泉(ゆ)の流 (ながれ) 

を出てまばゆくぞある露の原  

(はまぐり)とならざるをいたみの露  

垣間(かいま)見る芙蓉(ふよう)に露の傾きぬ  

病んでより白萩(はぎ)に露(ろ)の繁(よ)く降る事よ  

見もて行く蘇氏(そし)の印譜(いんふ)や竹の露  

蔵沢(ぞうたく)の竹を得てより露の庵  

萩に置く露の重きに病む身かな  


白露  

白露や芙蓉したたる音すなり  

白露や研ぎすましたる鎌の色


露(つゆ)けし   

露けさの庵(いおり)を繞(めぐ)りて芙蓉かな  

露けさの中に帰るや小提灯(こちょうちん)  

露けさの里にて静かなる病  


露時雨(つゆしぐれ) 

見るからに君痩せたりな露時雨  



秋の(しも) 

枚(ばい)をふくむ三百人や秋の霜


秋の山 

秋の山南を向いて寺二つ  

秋の山後ろは大海(たいかい)ならんかし  

土佐で見(みれ)ば猶(なお)近からん秋の山  

秋の山静かにの通りけり  

秋の山いでや動けと(たき)の音  

大滝を北へ落すや秋の山  

秋の山松明(あから)かに入日かな  

雪隠(せついん)の窓から見るや秋の山  

北側は杉の木立(こだち)や秋の山  

秋の山に逢ふや白衣(びゃくえ)の人にのみ  

竪(たて)に見て事珍らしや秋の山  


秋の田 

鶏頭(けいとう)や秋田漠々(ばくばく)家二三(いえにさん) 


刈田
谷川の左右に細き刈田哉


落し水
泥亀のながれ出でたり落し水 


秋の水

三方(さんぽう)は緑なり秋の水  

藪影(やぶかげ)や魚(うお)も動かず秋の水  

藻(も)ある底に魚(うお)の影さす秋の水  

配達ののぞいて行くや秋の水  

(つづみ)うつや能楽堂の秋の水  

底見ゆる一枚岩や秋の水   


秋の川
秋の川真白な石を拾ひけり
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