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夏目漱石 秋

夏目漱石 秋3

行く秋
行秋や此頃参る京の瞽女(ごぜ)

行秋を踏張(ふんばっ)て居る仁王

行秋や博多の帯の解け易き

機(はた)を織る二十(やもめはたち)で行く秋や

行く秋やふらりと長き草履の緒

行く秋や(えん)にさし込む日は斜(ななめ)

秋行くと山僮(さんどう)窓を排しいふ

行く秋の関廟(かんびょう)の香炉烟(けむり)なし

行秋を鍍金(めっき)剥げたる指輪哉


残る秋

日の入や五重の塔に残る秋

山は残山(ざんさん)水は剰水(じょうすい)にして残る秋


冬近し

竹一本葉四五枚に冬近し


秋晴れ

生垣の丈かり揃へ晴るゝ秋

秋晴や山の上なる一つ松

秋晴に病間(びょうかん)あるや髭を剃る

饅頭(まんじゅう)に礼拝すれば晴れて秋


秋の空
朝寒に樒(にしきみ)売り来る男かな

朝寒の鳥居をくゞる一人哉

朝寒や雲消て行く少しづゝ

馬盥(ばだらい)水烟(みずけむり)して朝寒し

朝寒の冷水浴を難(かた)んずる

の家(やもめのや)独り宿かる夜寒かな

客人を書院に寐かす夜寒哉

木枕(きまくら)の堅きに我は夜寒哉

銅瓶(どうびん)に菊枯るゝ夜の寒哉

盛り崩す碁石の音の夜寒し

梁上(りょうじょう)の君子と語る夜寒かな

行秋や消えなんとして残る雪

行く秋をすうとほうけし

行く秋の犬の面(つら)こそけゞんなれ

見上ぐれば城屹(きつ)として秋の空
秋の空名もなき山の愈(いよ)高し

谷深し出る時秋の空小(ちさ)し

去ればにや男心と秋の空

草山に馬放ちけり秋の空

橋立(はしだて)や松一筋に秋の空

抽(ぬき)んでゝ富士こそ見ゆれ秋の空
(すずき)釣つて舟を蘆間(あしま)や秋の空

秋の空幾日(いくか)迎(あお)いで京に着きぬ

雲少し榛名(はるな)を出でぬ秋の空

押分(おしわく)る芒(すすき)の上や秋の空  

秋の空鳥海山(ちょうかいざん)を仰ぎけり

秋の空浅黄(あさぎ)に澄めり杉に斧

静なる病に秋の空晴れたり

我一人行く野の末(すえ)や秋の空

まきを割るかはた祖(そ)を割るか秋の空


秋高し

秋高し吾白雲(しらくも)に乗らんと思ふ


秋の雲 

秋の雲只むらむらと別れ哉

空に一片秋の雲行く見る一人

終日(ひねもす)や尾の上離れぬ秋の雲


 

柿の葉や一つ一つに月の影

今日よりは誰に見立ん秋の月

見ゆる限り月の下なり海と山

ほろ武者の影や白浜月の駒

月に射ん的は栴檀(せんだん)弦(つる)走り

十月の月ややうやう凄くなる

廻廊の柱の影や海の月

酒なくて詩なくて月の静かさよ

月東君は今頃寐て居るか

影法師月に並んで静かなり

客に(ふ)あり墨磨(すみす)り流す月の前

真夜中は淋しからうに御月様

これ見よと云はぬ許(ばか)りに月が出る

月に行く漱石妻を忘れたり

月さして風呂場へ出たり平家蟹

(きり)かれて洩れ来(く)る月の影多し

踊りけり拍子をとりて月ながら

月今宵もろもろの影動きけり

山門や月に立(たち)たる鹿の角

水浅く首を伏せけり月の鹿

北窓は鎖(とざ)さで居たり月の(かり)

帆柱をかすれて月の雁の影  

帰るべくて帰らぬ吾に月今宵

鶏頭(けいとう)に後(おく)れず或夜(あるよ)月の雁

暁や夢のこなたに淡き月

たゞ一羽来(く)る夜ありけり月の雁

抱一(ほういつ)の芒(すすき)に月の円(まど)かなる

萩(はぎ)の粥月待つ庵(いお)となりにけり  

萩と歯朶に賛(さん)書く月の団居(まどい)哉

棕櫚竹(しゅろちく)や月に背(そむ)いて影二本  
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