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夏目漱石 秋

夏目漱石 秋2

夜長 

碧巌(へきがん)を提唱す山内(さんない)の夜(よ)ぞ長き

長かれと夜すがら語る二人かな

かしこみて易(えき)を読む(じゅ)の夜を長み

病むからに行燈の華(はな)の夜を長み

ともし置いて室(へや)明(あか)き夜の長(ながさ)かな

甦へる我は夜長に少しづゝ  

つくづくと行燈の夜の長さかな  

明けたかと思ふ夜長の月あかり  


長き夜

長き夜を唯蝋燭(ただろうそく)の流れけり  

蓑虫(みのむし)のなくや長夜(ながよ)のあけかねて

長き夜を我のみの噂(うわさ)哉

長き夜を平気な人と合宿(がっしゅく)す  

長き夜を煎餅(せんべい)につく鼠かな

長き夜や土瓶(どびん)をしたむ台所


冷やか

冷かな鐘をつきけり円覚寺

冷やかな瓦を鳥の遠近(おちこち)す

冷かや人寐静まり水の音

ぶら下る蜘蛛の糸こそ冷やかに

冷やかな脈を護(まも)りぬ夜明方(よあけがた)

冷かな文箱(ふみばこ)差し出す蒔絵(まきえ)かな

冷かな足と思ひぬ病んでより

冷ややかに觸(ふ)れても見たる擬宝珠哉  

冷やかに抱(いだ)いての古きかな

提灯を冷やかに提(さ)げ芒(すすき)かな

切口(きりくち)に冷やかな風の厠(かわや)より  


ひやひや

ひやひやと雲が来る也(なり)温泉(ゆ)の二階


秋寒 

秋寒し此頃(このころ)あるゝ海の色


そぞろ寒

かしこまる膝のあたりやそゞろ寒

漫寒(そぞろさむ)の温泉()も三度目や鹿の声

余所心(よそごころ)三味(しゃみ)聞きゐればそゞろ寒


うそ寒

うそ寒や灯火(ともしび)ゆるぐ滝の音

うそ寒し瀑(たき)は間近と覚えたり

僧に対すうそ寒げなる払子(ほっす)

うそ寒み大めしを食ふ旅客あり

うそ寒み油ぎつたる枕紙

谷底の湯槽(ゆぶね)を出るやうそ寒み

うそ寒み故人の像を拝しけり

うそ寒や綿入(わたいれ)きたる小大名


肌寒

肌寒や羅漢思ひ思ひに坐す

肌寒や膝を崩さず坐るべく

肌寒み禄(ふち)を離れし謡ひ声

重ぬべき単衣(ひとえ)も持たず肌寒し

肌寒と申し襦袢(じゅばん)の贈物

肌寒をかこつも君の情(なさけ)かな


朝寒

朝寒のに向へば焦げし飯

朝寒み夜寒(よさむ)みひとり行く旅ぞ

朝寒の楊子(ようじ)使ふや流し元 (ながしもと)

朝寒み白木の宮に詣でけり

朝寒の顔を揃へし机かな

朝寒や自ら炊(かし)ぐ飯二合

朝寒や太鼓に痛き五十棒(ごじゅうぼう)

朝寒も夜寒も人のかな

朝寒や生きたる骨を動かさず

かりそめの病なれども朝寒み


夜寒

吏(り)と農と夜寒の汽車に語るらく

朝寒み夜寒みひとり行く旅ぞ

韋編(いへん)断えて夜寒の倉に束(たば)ねたる

衰(おとろえ)に夜寒逼(せま)るや雨の音

旅にやむ夜寒心や世は情

朝寒も夜寒も人の情かな

もや出ると夜寒に壁の穴

酒少し徳利(とくり)の底に夜寒哉

酒少し参りて寐たる夜寒哉

電燈を二(にしょく)に易へる夜寒哉


秋寂ぶ
秋さびて霜(しも)に落けり柿一つ


暮の秋

てい袍(ほう)を誰か贈ると秋暮れぬ

祭文小春治兵衛(さいもんやこはるじへえ)に暮るゝ秋

僧堂で痩せたる我に秋暮れぬ

病妻(びょうさい)の(ねや)に灯(ひ)ともし暮るゝ秋

抜けば崇る刀を得たり暮の秋

手向(たむ)くべき線香もなくて暮の秋 (正岡子規追悼)



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