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夏目漱石 秋

夏目漱石 秋1



行燈(あんどん)にいろはかきけりの旅

親を持つ子のしたくなき秋の旅

杉木立中(なか)に古(ふ)りたり秋の寺

見つゝ行け旅に病むとも秋の不二

世は秋となりしにやこの

満山の雨を落すや秋の滝

大岩や二つとなつて秋の滝

絶頂や余り尖りて秋の滝  

二十九年(にじゅうくねん)骨に徹する秋や此風(このかぜ)

見上げたる尾の上に秋の高し

柳ちりて長安は秋の都かな

古白とは秋につけたる名なるべし

今日ぞ知る秋をしきりに降りしきる

茶布巾(ちゃぶきん)の黄はさめ易き秋となる

かしこまりて憐れや秋の膝頭

顔洗ふ(たらい)に立つや秋の影

柄杓(ひしゃく)もて水瓶(みずがめ)洗ふ音や秋

湖を前に関所の秋早し

秋はふみ吾に天下の志

旅の秋高きに上る日もあらん

筒袖や秋の柩(ひつぎ)にしたがはず (子規追悼句)

後仕手(のちして)の撞木(しゅもく)や秋の橋掛り

なつかしき土の臭や松の秋

動かざる一篁(ひとたかむら)や秋の村

宮様の御立(おたち)のあとや温泉(おんせん)の秋

尺八を秋のすさみや欄(らん)の人

秋の江(え)に打ち込む杭(くい)の響かな

一山(いちさん)や秋色々(あきいろいろ)の竹の色

大切に秋を守れと去りにけり

坐して見る天下の秋も二た月目

力なや痩せたる吾に秋の粥

貧しからぬ秋の便りや枕元

就中竹緑也(なかんずくたけみどりなり)秋の村

新らしき命に秋の古きかな

過ぎし秋を夢みよと打ち覚めよとうつ

顧みる我面影(わがおもかげ)やすでに秋

君が塵(ちり)を払へば鳴る秋か

壁隣り秋稍更(あきややふ)けしよしみの灯 (ひ)

懸物の軸だけ落ちて壁の秋

吾心点(わがこころてん)じ了(おわ)りぬ正に秋


初秋(はつあき)

初秋の千本の松動きけり

初秋をふるひかへせしおこり哉

初秋の隣に住むや池の坊

初秋の芭蕉動きぬ枕元


秋浅し

秋浅き楼(ろう)に一人や小雨がち


立秋(たつあき)

立秋の風に光るよ蜘蛛の糸

立秋の紺(こん)落ち付くや伊予絣(いよがすり)
秋となればもかくなり俳諧師(はいかいし)

ひとむらの(すすき)動いて立つ秋か


今朝の秋

山寺に湯ざめを悔(く)る今朝の秋

釣瓶(つるべ)きれて井戸を覗くや今朝の秋

ふと揺るゝ蚊帳釣手や今朝の秋

起きぬ間に露石(ろせき)去(い)にけり今朝の秋

鬢の影(びんのかげ)鏡にそよと今朝の秋

びんに櫛(くし)そよと動きぬ今朝の秋


秋立つ

麓(ふもと)にも秋立ちにけりの音

秋立つや千早古る世の杉ありて

山里や今宵秋立つ水の音

秋立つや眼鏡して見る三世相(さんぜそう)

秋立つや萩(はぎ)のうねりのやゝ長く

秋立(あきたつ)や断りもなくかやの内

空に雲秋立つ台に上(のぼ)りけり

広袖(ひろそで)にそゞろ秋立つ旅籠(はたご)哉

秋立つや一巻の書の読み残し

秋立つ日猫の蚤取眼(のみとりまなこ)かな


来る秋

来る秋のことわりもなく蚊帳の中


残暑
捨てもあへぬ団扇(うちわ)参れと残暑哉


秋暑し

秋暑し癒(いえ)なんとして胃の病


秋の彼岸

爺と婆さびしき秋の彼岸(ひがん)かな


十月

十月のしぐれて文(ふみ)も参らせず

十月の月ややうやう凄(すご)くなる


の秋

生き返るわれ嬉しさよの秋


雀蛤

史官啓(けい)す雀蛤(すずめはまぐり)とはなりにけり

子は雀身は蛤(こはすずめみははまぐり)のうきわかれ

蛤とならざるをいたみ菊の露


秋の日

秋の日中(ひなか)山を越す山に松ばかり

秋の日のつれなく見えし別(わかれ)かな


秋の暮

独りわびて僧何占ふ秋の暮

秋の暮関所(せきしょ)へかゝる虚無僧(こむそう)あり

生憎(あいにく)や嫁瓶(びん)を破る秋の暮

秋の暮一人旅とて嫌はるゝ

秋の暮野狐精来(やこせいきた)り見えて曰く(いわ)


の秋(よいのあき) 

語り出す祭文(さいもん)は何宵の秋


夜半(よわ)の秋 

行燈(こあんどん)夜半の秋こそ古めけり  
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