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夏目漱石 夏

夏目漱石 夏3



落ちし(らい)を盥(たらい)に伏せて鮓(すし)の石すし

の峰雷を封じて聳えけり

の図にのりすぎて落にけり


遠雷
遠雷や香の煙のゆらぐ程


照る日

午時(ひるどき)の草もゆるがず照る日かな



青田(あおた

大慈寺(だいじじ)の山門長き青田かな


清水

尻に敷(しい)て忘れたる清水哉

一八(いちはつ)の家根をまはれば清水かな

したゝりは歯朶(しだ)に飛び散る清水かな

宝丹(ほうたん)のふたのみ光る清水かな

ところてんの叩かれてゐる清水かな

底の石動いて見ゆる清水哉

二人して片足宛(づつ)の清水かな

懸崖(けんがい)に立つ間したゝる清水哉

したゝりは襟(えり)をすくます清水かな

市(いち)に入る花売憩う清水かな

澄みかゝる清水や小き足の跡

法印法螺(かに)入る清水かな

追付て吾まづ掬(むす)ぶ清水かな

三どがさをまゝよとひたす清水かな

汗を吹く風は歯朶より清水かな

夏草の下を流るゝ清水かな


清水

岩清水十戸(じっこ)の村の筧(かけひ)かな


苔清水

苔清水天下の胸を冷やしけり

両掛(りょうがけ)や関のこなたの苔清水

(くす)の香や村のはづれの苔清水


したたり

したゝりは歯朶に飛び散る清水かな

したゝりは襟(えり)をすくます清水かな



更衣(ころもがえ)
 
亡き母の思はるゝ哉衣がへ

便(びん)なしや母なき人の衣がへ

ぬいで丸めて捨てゝ行くなり更衣

衣更へて京より嫁を貰ひけり

吾老いぬとは申すまじ更衣

埒(らち)もなく禅師(ぜんじ)肥(こえ)たり更衣

よき人のわざとがましや更衣

更衣て弟の脛何(すねなに)ぞ太き

小賢しき犬吠付(ほえつく)や更衣

更衣同心衆十手かな

更衣沂(き)に浴すべき願(ねがい)あり  

座と襟を正して見たり更衣  

衣更て見たが家から出て見たが


(あわせ)

袖に手を入て反りたる袷かな

思ひ切つて五分に刈りたる袷かな


すし

すゝめたる鮓を皆迄参りたり

鮓桶の乾かで臭し蝸牛(かたつむり)

生臭き鮓を食(くら)ふや佐野の人


握り鮓

重箱に笹を敷きけり握り鮓


鮓の石

扛げ兼て(あげかねて)妹が手細し鮓の石

落ちし雷(らい)を盥(たらい)に伏せて鮓の石


(ちまき)

粽食ふ夜汽車や膳所(ぜぜ)の小商人

不出来なる粽と申しおこすなる

女して結(ゆ)はす水仙粽(すいせんちまき)


心太


槽底(おけぞこ)に魚(うお)あり沈む心太
ところてんの叩かれてゐる清水かな


酒煮る

立て見たり寐て見たり又酒を煮たり  


籐寝椅子

顔にふるゝ芭蕉涼しや籐の寝椅子


蚊帳(かや)

眠らじな蚊帳に月のさす時は

蚊帳青く涼しき顔にふきつける

二人寐の蚊帳も程なく狭からん

涼しさや蚊帳の中より和歌の浦

蚊帳越しに見る山青し杉木立


紙帳(しちょう)

貧しさは紙帳ほどなるかな  


蚊遣(かやり)

うき人の顔そむけたる蚊遣(かやり)かな

となりから月曇(つきくも)らする蚊やり哉

文を売りて薬にかふる蚊遣かな



扇子(せんす)

ある画師の扇子捨てたる流(ながれ)かな

かざすだに面はゆげなる扇子哉


団扇(うちわ)

羽団扇(はうちわ)や朧に見ゆる神の輿(こし)

仏壇に尻を向けたる団扇かな

就中(なかんずく)大なるが支那の団扇にて

くらがりに団扇の音や古(ふるえんじゅ)

絹団扇墨画(ぼくが)の竹をかゝんかな

独り顔を団扇でかくす不審なり

捨てもあへぬ団扇参れと残暑哉


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